全釈漢文大系3 大学・中庸

大学は朱子の解釈により若干改変された大学章句があり、その改変された箇所が問題とされることがある。王陽明は、当時、改変された大学章句ばかりが出回っていたことに対して思うところがあったらしく、朱子以前の大学(大学古本)を敢えて出版した。こういう経緯があるためなのか、大学の読み方に関しては、朱子寄りや本来のものなど様々な解釈の仕方があり、それが同一名の大学として本になっているためとても分かりにくい。論語の本にしても漢字1文字で意味が全く違ったりするのと似てなくはないが、朱子は親民を新民にしたりしているので印象が結構変わってくる。岩波文庫集英社の全釈漢文大系の大学は陽明学寄りであると書かれていたので入手してみた。

全釈漢文大系3 大学・中庸
目次

  • 序説――古典の解釈法について
  • 大学
  • 中庸
      • 解説
    • 中庸
    • 中庸章句序(朱子)
    • 修道説(王陽明)
    • 中庸首章解義(王龍渓)
  • 付録『大学』『中庸』分章節一覧表
  • 索引(語句・人名・書名)

王龍渓は王畿ともいい陽明学左派に位置づけられている人物である。目次を見る限り陽明学寄りかも。解釈が別れる箇所は、新・古として別々に記載されているので読み比べが出来る。王龍渓の文章は白文しか持ち合わせていないのでありがたい。